映画『読書する女』TSUTAYA発掘良品 ミュウ=ミュウ主演のフランス映画

映画情報


読書する女
(原題:La Lectrice

読書する女 ポスター.jpg
製作年:1988年(フランス) ジャンル:ドラマ/コメディ
上映時間:99分


<スタッフ>
監督:ミシェル・ドヴィル
脚本:ミシェル・ドヴィル、ロザリンド・ドヴィル
原作:レイモン・ジャン
製作:ロザリンド・ドヴィル
音楽:ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
撮影:ドミニク・ルリゴルール


<出演者>
ミュウ=ミュウ、マリア・カザレス、クリスチャン・リュッシュ、マリア・デ・メディロス、マリアンヌ・ドニクール、パトリック・シェネ、and more…


【読書する女】解説/あらすじ


レイモン・ジャンの小説『読書する女』を、『2人の女』のミシェル・ドヴィル監督が映画化したフランスの作品。『バルスーズ』のミュウ=ミュウ演じるヒロインが、本の中の主人公になりきって、一風変わった客を相手に本を読み聞かせる官能的なロマンティック・コメディ。TSUTAYA発掘良品の一本。


レイモン・ジャンの『読書する女』を愛読する読書家のコンスタンス(ミュウ=ミュウ)は、本の中の主人公マリー(ミュウ=ミュウの二役)になりきって、同棲中の恋人に読み聞かせる。美しい声を持つマリーは、友人からの進めでお客を相手に本を読み聞かせる仕事をしようと広告を出す。しかし相手の客は、下半身不随でマザコン気質の少年や、離婚して欲求不満な中年社長。自称100歳のトルストイの『戦争と平和』が好きだという女性が雇っているメイドは、下着の中に蜘蛛を飼っているという女性に、『不思議の国のアリス』が好きな幼女などなど。そんな一風変わった客を相手にしていたマリーは、思いもよらない騒動に巻き込まれていくのだった…。


【読書する女】映画感想/レビュー


レイモン・ジャンの小説『読書する女』を読書する女(ミュウ=ミュウ)が主人公のオシャレで官能的なフランス映画『読書する女』。
ロマンチックな映画というよりは、これは殆どコメディです。爆笑ではなくて、クスっと笑える程度のライト・コメディ。


本の中の主人公マリーになりきるコンスタンス(ミュウ=ミュウ)


恋人と同棲中のコンスタンスが、自身が愛読する『読書する女』を恋人に読み聞かせるのですが、その本の中での出来事を映像化しているのが本作。このような手法がとられている映画は色々ありますね。
例えば、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』を映画化した『ネバーエンディング・ストーリー』なんかが有名です。
当時40歳近い年齢にしてキュートなフランス人女優ミュウ=ミュウが、コンスタンスとマリーの二役を演じています。
ただし、二役を演じてスゲー!ってなるほど、大袈裟なものでもなく、コンスタンスとマリーの役柄はそんなに変わったものでもありません。


マリーが読み聞かせをするお客さんが風変わりな人たちばかり


美声を持つマリーは、友人のススメによって(というか、自分自身、美声の持ち主だという意識がありますが)お客さんを相手に本を読み聞かせるという新しい仕事を始めるべく、広告を出します。
しかし、連絡をしてきたお客さんは風変わりな人たちばかり。


マザコン気味の下半身不随の少年、自称100歳だと言い張る純文学好きの女性に、下着の中に蜘蛛を飼っているというそのメイド、母親が仕事で忙しくていつも豪邸の中に一人でいる少女に、妻と離婚して孤独を抱える欲求不満な会社の中年社長。
この風変わりな登場人物達は、勿論マリーの声に惹かれてはいるのですが、少年や中年社長なんかは、そんなことよりもマリーの見た目や身体に関心を寄せています。
というか、殆ど誰も読書する本の内容なんかには興味を示していないという…。


葛藤しながらも快活なマリー


そんな我侭で変わり者のお客達を相手に、一応マリーの中でも、“私は読み聞かせるためにここに来たはず”みたいな葛藤もあるのですが、元々ポジティブなマリーは、なんやかんやでお客さん達の真の欲求を満たしていきます。
その姿が全然嫌そうじゃなくて、寧ろ清々しいんですね。
途中ボカシが入ったり、チラリズムが出てきたりみたいな官能的な描写もあるのですが、あまりいやらしいというわけでもなく。寧ろ笑えます。


『読書する女』の中に出てくる作家や小説


原作であるレイモン・ジャンの『読書する女』もなのですが、劇中にモーパッサンの『手』、トルストイの『戦争と平和』、ボードレール、マルクス、デュラスの『ラマン・愛人』、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』、ゾラ、そして、マルキ・ド・サドの『ソドム百二十日』などといった作家や小説、詩集などの名前が出てきたり、実際読み聞かせたりしています。
モーパッサンを読んでもらっている最中に興奮してしまう少年や、『ラマン』を読まれている間中、身体をべたべた触りまくる欲求不満の中年社長には笑わかされますが、この映画は、名前が出てくる作家や小説に対して関心を抱かせてくれます。そういう意味では知的な文学的映画です


劇中ずっと流れているベートーヴェン


劇中で使用されている音楽のセンスが非常によくて、ずーっとベートーヴェンのピアノソナタとかバイオリンソナタが流れています。どちらかと言わなくても、悲愴な方のベートーヴェンではなくて、明るめの楽曲ですね。
映画の内容とマッチングしていることもさることながら、ミュウ=ミュウ演じるコンスタンス/マリーの性格に合った選曲です。


サドを読むラスト


少年が倒れたのを自分のせいにされたり、蜘蛛女の騒動に巻き込まれた挙句に共産主義のレッテルを貼られたり、少女にせかされて遊園地に連れていったら誘拐犯扱いされたりといったことに巻き込まれたマリー。
その過程で、お客さんたちの家族のみならず、警察や医者、老司法官なんかの権力者もかかわってくるのですが、最終的には老司法官に招かれて、マルキ・ド・サドの『ソドム百二十日』を読むよう頼まれます。
この『ソドム百二十日』、ピエル・パオロ・パゾリーニの『ソドムの市』として映画化もされていますが、非常に生々しい描写が出てきて、読むことを躊躇うのも頷けるような小説なのですが、マリーは一度読むかどうかの判断を持ち帰った上で、結局読むことにし、再度老司法官の家に赴きます。


しかし、そこで待っていたのは、老司法官のみならず、それまでに関わった医者と警察も加えた3人。
ここでマリーは“やってられるかい!”ってなって退室し、コンスタンスが読む本は閉じられ、“私、本を読み聞かせる仕事をするわ”みたいなことになって終わります。


結局この映画に出てくるお客さんたちは、途中マリーの想像による描写が挿まれたりもしますが、みんな人間の根源的な醜いともとれる欲求の表れですね。
オシャレ且つ知的ですけど、基本的にそうした欲求に正直なコメディ映画。登場人物の殆どが、典型的なフランス人らしくナルシスト気味なのも笑える。
オフビート感が味わえるTSUTAYA発掘良品の一本。


【読書する女】関連DVD,ブルーレイなど


待望の初DVD化な模様
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