映画『火垂るの墓』スタジオジブリ製作による感動の戦争アニメーション

映画情報


火垂るの墓
Grave of the Fireflies

火垂るの墓 ポスター.jpg
製作年:1988年(日本) ジャンル:アニメーション/ドラマ/戦争
上映時間:88分


<スタッフ>
監督/脚本:高畑勲
原作:野坂昭如
製作:原徹
音楽:間宮芳生
編集:瀬山武司


<声の出演>
辰巳努、白石綾乃、志乃原良子、山口朱美、and more…


【火垂の墓】解説/あらすじ


野坂昭如が自らの体験をもとに書いた小説を、スタジオジブリ製作で映画化したアニメーション戦争ドラマ。戦争によって家も家族も失った兄妹が必死に生きる姿と、悲惨な運命を描く。監督は『おもひでぽろぽろ』、『平成狸合戦ぽんぽこ』の高畑勲。


太平洋戦争末期の1945年(昭和20年)神戸。B29による空襲で母(志乃原良子)と家を亡くした清太(辰巳努)と節子(白石綾乃)の兄妹は、西宮市の叔母を頼りに訪れる。しかし、次第に兄妹と叔母の間は拗れはじめ、諍いが絶えなくなる。限界を感じていた清太は叔母のもとを離れ、節子を連れて防空壕での2人だけの自炊生活を始めるのだったが…。


【火垂るの墓】映画感想/レビュー


『天空の城ラピュタ』のスタジオジブリ製作、高畑勲監督による戦争アニメーションドラマ『火垂るの墓』(ほたるのはか)。
公開当時は宮崎駿監督の『となりのトトロ』と合わせて2本立てでの劇場公開だったらしいのですが、一方はファンタジー、一方は悲しい現実を描いた映画で、この2本を立て続けて観たとき、映画館に足を運んだ人は一体どのように受け止めたのでしょうか?


もはや何回観て何回泣いてんだかわからない


私が初めて観たのは、おそらく小学生の時の授業の時間に観たような気がします。
それからテレビで放送されたり、DVDを借りたり、終いにはDVDを買ったりして、何回も観ているはずなのですが、観た回数だけ泣いてます。
寧ろ自分が成長するなり家族を持つなりするにつれて、訴えかけてくるメッセージ性のようなものが重たすぎて、泣く度合いが酷くなっていってます。
久々に金曜ロードSHOW!でも観ましたけれど、殆どずっと泣いていました。
色んなことを経験して、多分涙腺ぶっ壊れてきてるんだと思いますが、やはり『火垂るの墓』は凄い。


兄妹に待ち受ける過酷な運命


神戸を襲った神戸大空襲の時、兄の清太は14歳、妹の節子は4歳。
父が軍人として何処かわからない戦地に赴いている。そして心臓の悪い母は、兄妹より先に防空壕へ逃げたはずが、その途中でB29の空襲によって被災してしまい、全身に大やけどを負って昏睡状態に陥り、そのまま死亡してしまう。


この時、節子に対して清太は、‘明日一緒にお見舞いに行こ’とか‘お母さんがもう少しよくなったらお見舞いに行こ’とか嘘をつきます。
たった14歳の少年が、4歳の妹を抱えて一人で母親の死を受け入れることは、いくら戦時中とは言え、そんなに簡単なことではないと思う。
“お母さんに会いたい”と言って泣く節子。そんな節子を元気づけようと、“お兄ちゃん凄いんやでぇ”って行って鉄棒で回り続けている清太。
妹を思う兄のこの決断と行動に対してまず涙。(告げることが正しいことかそうではないかという話も、人によって様々だと思いますが)


節子に母の死を伏せたまま、2人は西宮の叔母の家を訪ね、居候させてもらうことになり、最初のうちはうまくいっていたのだけれど、段々諍いが絶えなくなる。
叔母は“お国のために働いている人やから”と、自分の娘と勤労奉仕を熱心にする下宿人のメガネの男性にはおにぎりを握り、まともな食事を与えるのですが、食べ盛りの清太と節子には、“家でだらだらしているだけのもんは雑炊食べれるだけでも有り難く思え”みたいなことを言ったり、冷ややかな態度を取ります。


何が正しくて何が間違っているのか?


ここが『火垂るの墓』でも、一番あーでもないこーでもないと論争が巻き起こるところだと思いますが、叔母さんの言ってることも間違いではないんですよね。傍から見たら清太は国のために何かをしているでもなく、いつもぶらぶら妹と一緒にいるだけの男。
戦時中での14歳、それも戦争末期と言えばもう立派な年齢で、下宿人のように勤労奉仕なりなんなりするのが当たり前みたいなところもあると思います。現代社会で言うところのニートと呼ばれても仕方がないのかもしれない。


だけれど、清太が妹を思う気持ちも凄くわかる。海軍である父が今何処で何をしているのかも知れず、母を亡くした悲しみを一人で背負い込んでしまっている清太にとって、節子は手間のかかる子供とは言え、きっとただ一つの生きがいであって救いだろうし、節子にとっての兄だけではなく、親代わりにもならなければいけない。
親代わりにならなければいけないということは、当然食わしてもいかなければいけないということなんだけれど、叔母に節子の面倒を見てもらって働きに出かければいいとかそんな単純なことなのか?となってくると、そんな単純なことでもないと思います。
自分だったら、あんな嫌な叔母さんに大切な妹を預けること自体心配で仕方がない。
また、劇中で節子が、“何もいらん。何処にも行かんといて。”と言います。
清太が節子を必要としているように、節子にとっても清太は唯一無二の存在であり支えなんですね。


食べさせてもらうことを叔母に頼らず、七輪やら何やら買って自炊することを決めた清太。
妹にドロップを買ってあげる兄。“ローップ、ローップ”と喜ぶ妹。足を崩してえぇよと促したり、自分だけじゃなく兄ちゃんにもドロップあげたり、兄妹のお互いを思って敬って助け合う気持ちが、映画が進行するに連れて深くなっていって、やはり泣けてしまいます。


叔母の家を出て暮らすことを決意


結局叔母の家を離れて、無人の防空壕での自炊生活を始めますが。蛍と戯れたり最初は楽しく過ごしていたものの、やはり待っていたのは過酷な現実。その辛さや苦しみは、叔母のところに居る時よりも遥かに過酷なもので、近所の農家のおじさんにも、“謝ってもう一度あそこの家に置かせてもらい”と助言される始末。


節子は栄養失調から免疫不全と思われる状態から、何かの病気を併発してしまい、医者は滋養がうんたら言うだけ。
節子に栄養のあるものを思って、清太は遂に畑を荒し、そこを見つかって節子の前でボコボコにされた挙句、止める節子の声も虚しく警察に突き出されてしまいます。
幸い警察が清太を罰することはなく見逃されましたが、先にも書いたとうり、節子の“何処にもいかんといて”。
この辺りからもはや涙で前が見えない。(見えるけど)


節子の死


どんどん衰弱して行く節子を“食べるもん買ってきたら、もうどこにも行かん、ずっと一緒や”と防空壕で待たせて、銀行にお金を下ろしに行くと、清太の知らぬ間に既に終戦を迎えており、海軍である父親が生きている望みは薄いという事実を知る。
失意の中、スイカなどの食べ物を買って防空壕に戻ってみると、節子は更に衰弱してしまっていて、ドロップじゃなくておはじきを舐め、清太に“ご飯よ”と石を上げる。
それを見た清太は、スイカを切ってあげて自ら食べさせてあげるも、雑炊を作っている間に節子は死んでしまう。


家族みんなを失ってしまった清太の失意、防空壕で節子がとっていたであろう行動を見せるシーン、映画冒頭と繋がる終わり方。
この映画は何回観てもあまりにも重たい。
泣けるからイイ映画というわけではない。これを観て「泣けるイイ映画」とかってなっちゃうのは多分なんか違う。戦争もだけれど、自分自身であったり、人間同士の在り方について、いつも考えさせられます。


節子の死因は栄養失調ではない


節子の死因について、栄養失調で亡くなってしまったという話がある一方で、空襲後の軍需工場の出火による有害物質を含む黒煙が、劇中でも“これが空襲後に振るっていう雨か”という台詞がありますが、所謂‘黒い雨’となり、その‘黒い雨’を左目に受けてしまったことによる疫病とする説があります。


これはその通りなんだろうなと思う。節子が左目を気にする描写は劇中で何度か描かれているし、早い段階で背中にあせもが出てきていますが、その時はまだ、比較的まともに食事を摂っていました。
病院では栄養失調と言われていますが、それも間違いではなく、栄養失調が免疫力の低下によって、病気と闘うことができなくなったか、黒い雨の影響で、栄養素を取り込みにくい身体になってしまっていたのだと思います。
これがその通りだとするのなら、やはり清太があまりにも救われなさすぎて悲しすぎます。


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火垂るの墓
Excerpt: 昭和20年神戸の空襲で母親を失い二人きりになった14歳の兄と4歳の妹…。 反戦アニメの傑作。 原作:野坂昭如
Weblog: 象のロケット
Tracked: 2015-08-18 21:34