映画『終着駅 トルストイ最後の旅』世界3大悪妻の真実の愛

映画情報


終着駅 トルストイ最後の旅
(原題:The Last Station

The Last Station poster.jpg
製作年:2009年(イギリス/ドイツ/ロシア) ジャンル:ドラマ/伝記
上映時間:112分


<スタッフ>
監督/脚本:マイケル・ホフマン
原作:ジェイ・パリーニ(終着駅 トルストイ死の謎)
製作:クリス・カーリング、イェンス・モイラー、ボニー・アーノルド
音楽:セルゲイ・イェフトゥシェンコ
撮影:セバスティアン・エドシュミット
編集:パトリシア・ロンメル


<出演者>
ヘレン・ミレン、クリストファー・プラマー、ジェームズ・マカヴォイ、ポール・ジアマッティ、アンヌ=マリー・ダフ、ケリー・コンドン、ジョン・セッションズ、パトリック・ケネディ、and more…


【終着駅 トルストイ最後の旅】解説/あらすじ


ドストエフスキーと並び称される『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』などで知られる19世紀ロシア文学の代表的作家、レフ・トルストイと、世界3大悪妻として有名なその妻ソフィヤの晩年を描いた伝記ドラマ。原作はジェイ・パリーニの『終着駅 トルストイ死の謎』。監督と脚本を務めるのは、『ダルク家の三姉妹』、『真夏の夜の夢』のマイケル・ホフマン。ソフィヤ役を『クイーン』のヘレン・ミレン、トルストイ役を『Dr.パルナサスの鏡』のクリストファー・プラマーが演じる。共演に『ウォンテッド』のジェームズ・マカヴォイなど。


19世紀を代表するロシア文学の偉大な作家レフ・トルストイ(クリストファー・プラマー)は、彼の思想を崇拝するトルストイ主義者達と共に共同生活を送っていた。妻のソフィヤ(ヘレン・ミレン)は、50年近くにわたってトルストイを献身的に支え続けてきたのだったが、弟子のウラジミール・チェルトコフ(ポール・ジアマッティ)と共に新興宗教を興したトルストイは、地位や名誉、財産をも捨てて、菜食主義の独身になることを宣言。寝耳に水のソフィヤは憤慨し、トルストイ主義者の世間知らずな青年、ワレンチン・ブルガコフ(ジェームズ・マカヴォイ)を使って夫を止めようとする。ワレンチンはトルストイの描く愛の理想と、ソフィヤとの間で抱える現実を目の当たりにして困惑する中、トルストイ主義者の自由奔放な女性マーシャ(ケリー・コンドン)に心を惹かれ、ますます理想と現実のギャップに苛む。自分を取り巻く環境に嫌気がさしたトルストイは、82歳にして真夜中の家出をするのだった。


【終着駅 トルストイ最後の旅】映画感想/レビュー


ジェイ・パリーニの小説『終着駅 トルストイ死の謎』を基に、ロシアの文豪トルストイの晩年を描いた伝記映画『終着駅 トルストイ最後の旅』(原題:The Last Station)。
製作のボニー・アーノルドは、『トイ・ストーリー』や『ヒックとドラゴン』などのアニメーションでヒット作を出している人で、本作が実写映画初プロデュース作品になります。


映画はレフ・トルストイ(クリストファー・プラマー)とソフィヤ・トルストイ(ヘレン・ミレン)の老夫婦の愛憎と、トルストイ主義者の若き青年ワレンチン(ジェームズ・マカヴォイ)とマーシャ(ケリー・コンドン)の若き2人の恋を重ねあわせ、交錯させるように描かれています。
トルストイ最後の旅 トルストイ ソフィヤ.jpg


トルストイ主義とは


そもそもトルストイ主義ってなんぞや?という話しなのですが、これは世界的な名声を得ると共に、自己や人生の無意味さに気付いてしまったトルストイが、自己探求、生やら愛やらの哲学をしていくうちに、聖書に出てくるキリストのような自由主義、博愛主義的な考えに行き着いた思想を、トルストイ主義といいます。
この思想や運動も、当時のロシアでは危険分子扱いされいたのですが、それでも愛と平和を説き続けた非暴力主義のマハトマ・ガンジーのような人がトルストイなわけです。
トルストイの博愛精神の深さが、妻ソフィアとの確執、愛憎も全てひっくるめて、本当の意味で博愛なんだなと思わせてくれる映画です。


ワレンチンとソフィヤの形は違えど深い愛


基本的にはこの映画でのトルストイ(クリストファー・プラマー)の役回りは助演でしかなく、主演はジェームズ・マカヴォイ扮するワレンチンであり、ヘレン・ミレン扮する世界3大悪妻の一人と呼ばれた妻のソフィヤなわけですが、ワレンチン視点で見れば、その文学面もさることながら、精神面でもトルストイは尊敬してやまない人であり愛すべき人なのだけれど、そんなトルストイ主義者と対照的にトルストイの全てを愛するがあまり、人に認められなくてもトルストイの全てを守ろうとしたのがソフィヤであって、ソフィヤのトルストイに対する愛は、あまりにも情熱的で盲目的だったかもしれないし、行き過ぎた束縛にも繋がるかもしれないし、激しい嫉妬心も芽生え、傍目には醜態を曝した悪妻や行き過ぎたフェミニストに写るかもしれないけど、それは見方の問題であって、視点を変えればソフィヤほどトルストイを愛している人間もいません。
終着駅 トルストイ最後の旅 ヘレン・ミレン.jpg


長い夫婦生活をやっていれば、それも伴侶があまりにも正直者すぎるソフィヤとなれば、いくら寛大なトルストイとて嫌になる時期はやってきます。ソフィヤが突きつけているのは他でもない現実。


I am the work of your life, you are the work of mine. That's what love is!
(私はあなたが作り上げたの、あなたは私が作り上げたの、それが愛よ!)

こんな台詞をソフィヤが言い放つ場面があります。(名言だと思う。)
博愛主義的な思想を掲げるトルストイにとっては、この妻の存在、言動などが頭で理解できても心がついていかないのです。
そして当然の如くトルストイ主義者達にとってソフィヤは煙たい存在以外の何者でもない。
何故ならトルストイ主義者達は、トルストイの思想しか見えていないそれこそ盲目的な人達だし、トルストイの思想を理解しているつもりなだけで、真相なぞ理解しているはずもなく、トルストイの博愛精神になど遠く及ばない存在だから。偽善と慈善は全くの別物なのです。


トルストイが博愛主義者ということは、当然万物全てを愛するということです。
この作品にはそれが凄く滲み出ているし、クリストファー・プラマーが本当に素晴らしい演技をしたと思いますが、トルストイもなんだかんだで結局妻のことを心の底から愛しています。
そもそも、人を愛さないと、自分が愛されるわけもないし、自分を愛さないと、人に愛されるわけもないのです。


クリストファー・プラマーとヘレン・ミレンの影に隠れがちですが、ジェームズ・マカヴォイも凄くイイ演技をしています。愛の深さについて考えさせられる素晴らしい作品。
トルストイの死の淵で、トルストイの心を読むソフィヤの言葉に涙。
ただ、やはり終盤までは苛々させられるかもしれません。ロシア語じゃなくて英語なのも気になるところです。
私はそんなに知りませんが、トルストイについて多少なりとも知っておいた方が楽しめる作品だと思います。


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