映画『瞳の奥の秘密』サッカースタジアムの長回しによる臨場感がとんでもないアルゼンチン映画

映画情報


瞳の奥の秘密
(原題:El secreto de sus ojos

瞳の奥の秘密.jpg
製作年:2009年(スペイン/アルゼンチン)
ジャンル:ドラマ/クライム/サスペンス
上映時間:129分


<スタッフ>
監督:フアン・ホセ・カンパネラ
脚本:エドゥアルド・サチェリ、フアン・ホセ・カンパネラ
製作:マリエラ・ベスイエフスキー、フアン・ホセ・カンパネラ
音楽:フェデリコ・フシド
撮影:フェリックス・モンティ
編集:フアン・ホセ・カンパネラ


<出演者>
リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、パブロ・ラゴ、ハビエル・ゴディーノ、カルラ・ケベド、ギレルモ・フランチェラ、and more…


<受賞歴>
第82回アカデミー賞:外国語映画賞受賞


【瞳の奥の秘密】解説/あらすじ


人気海外ドラマ『Dr.HOUSE』の監督を務めるフアン・ホセ・カンパネラ監督によるアルゼンチン映画。第82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞。25年前の過去と現在を巧みに交錯するミステリー・ドラマ。


アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの刑事裁判所を定年退職したベンハミン(リカルド・ダリン)は、自身が捜査に携わった25年前の未解決殺人事件をモチーフにした小説を執筆しようとしていた。かつての職場を訪れ、当時のベンハミンの上司であった女性イレーネ(ソレダ・ビジャミル)と再会し過去を振り返り、事件の真相に迫っていくのだったが…。


【瞳の奥の秘密】映画感想/レビュー


第82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したアルゼンチン映画『瞳の奥の秘密』。
まず、カメラワークなどの映画技法に始まり小物などの細部に凝った見事なセット、非常に美しい映像美を堪能することができますので、本来この映画は、完全に映画館で観た方がイイ映画です。
特に、サッカースタジアムの雰囲気、長回しを駆使したカメラワークの臨場感は素晴らしいの一言で、激しくて美しくて見事としか言いようがない。俯瞰からよってスタジアムを追い抜いて観客席の人混みの中にカメラが迫っていく光景は圧巻!
サッカーの熱も南米の強豪アルゼンチンらしく物凄く篭っていて、ラシンサポーターが「ラ・アカデミア(アカデミー)」と叫ぶシーンは本物さながらです。本体ミステリードラマのはずなんだけれど、この迫力のシーンだけでも、この映画は観る価値があります。


サッカーのクラブがラシンである必要性があったのかということも、この映画の中では非常に重要な要素かもしれません。
アルゼンチンの古豪クラブである、ラシン・クラブは、愛称がラ・アカデミアであるわけですが、アカデミアとは即ち、古代ギリシャの哲学者プラトンがアテネに開校した学術を学ぶ学園のことであり、プラトンはこう唱えています。<.p>

正義とは、己にふさわしきものを所有し、己にふさわしきように行為することなり。

何が正義で何が悪なのかということを、この『瞳の奥の秘密』では深く考えさせられるほどに一貫して問うてます。
勿論、何が正義で何が悪なのか、それの絶対的な真理などございませんが、そういう哲学的な問題を提起し、観客に考える余地を与えてくれている映画です。
と言ったら、結構難しげな映画なのかな?と思うかもしれませんが、単純にエンターテイメントとして優れてもいれば、サスペンス映画としても一級品であり、練りに練られたプロットにハラハラドキドキもすれば、ビックリするくらいのサプライズ、所謂どんでん返しも用意されています。


というか、『正義とは何か?』という問題提起しているので、このサプライズ以外にあり得ないと言えばあり得ないんだけれど、それを見事にやってのけてしまう手腕が素晴らしい。
検事という仕事柄、人から話しを引き出す弁論術に優れているといった会話の駆け引きも楽しめます。
瞳の奥の秘密 弁論.jpg


そして関係ないんですけど、エスポシトの相棒の飲んだくれの駄目男パブロが、見た目も、どことなく嫌味ったらしい男だけどロマンチストな側面も持っているという性格から、ウディ・アレンに見えて仕方なかったのは私だけなんでしょうか?
瞳の奥の秘密 ウディ・アレンに似てね?.jpg


サスペンス映画として、プロットが非常に丹念に練られており、オマケにとんでもないサプライズがあるという特盛りみたいな映画なのですが、極刑とか、善悪とは何かとか、哲学的な面で考えさせられたりもしつつ、要所で重たくなりすぎないようにコメディー的な要素が入ってきてみたり(それこそウディ・アレンのような)、ラブ・ロマンスの要素もあったりで、特盛りどころかフルコースみたいな映画でございます。
最後のTi Amo(ティアモ=愛してる)は、ベタでクサいけど反則である。
そして、ストーリーテリングとして優れていることも勿論のことながら、息を飲むような映像美、カメラワークは圧巻の一言。
ということで、『瞳の奥の秘密(その人の中の真理)』を覗くといった意味で、非常にオススメの傑作です。

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