映画『ヤギと男と男と壁と』陰謀論をバカバカしいパロディで描いたブラック・コメディ

映画情報


ヤギと男と男と壁と
(原題:The Men Who Stare at Goats

The Men Who Stare at Goats poster.jpg
製作年:2009年(アメリカ/イギリス) ジャンル:コメディ
上映時間:94分


<スタッフ>
監督:グラント・ヘスロヴ
原作:ジョン・ロンスン(実録・アメリカ超能力部隊)
脚本:ピーター・ストローハン
製作:ポール・リスター、ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロヴ
音楽:ロルフ・ケント
撮影:ロバート・エルスウィット
編集:タチアナ・S・リーゲル


<出演者>
ジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガー、ジェフ・ブリッジス、ケヴィン・スペイシー、スティーヴン・ラング、ロバート・パトリック、and more…


【ヤギと男と男と壁と】解説/あらすじ


マイレージ、マイライフ』のジョージ・クルーニー、スターウォーズシリーズ新三部作でジェダイの騎士オビ=ワン・ケノービ役を演じたユアン・マクレガー、『クレイジー・ハート』のジェフ・ブリッジス、『アメリカン・ビューティー』のケヴィン・スペイシーと、オスカー俳優3人+ジェダイの騎士という豪家キャストが共演している、アメリカに実際あった超能力特殊部隊を暴いた『実録・アメリカ超能力部隊』を基に製作された戦争ブラック・コメディ映画。『ヤギと男と男と壁と』という邦題は、お笑い兄弟コンビ千原兄弟の千原ジュニアが『千原ジュニアの映画製作委員会』の番組企画で命名。


ミシガン州の新聞記者ボブ・ウィルトン(ユアン・マクレガー)は、突然浮気を重ねるようになった妻との結婚生活の破綻をきっかけに、イラク戦争の取材を行うべく戦地へと赴き、かつて噂を耳にした“見つめただけでヤギを殺せる”という男リン・キャシディ(ジョージ・クルーニー)と出合う。ボブは取材のためリンに同行させてもらうよう頼み、共に行動をすることになったのだが、リンは自らをジェダイの騎士と名乗り、米陸軍極秘部隊‘新地球軍’に所属していることを知るのだったが…。


【ヤギと男と男と壁と】映画感想/レビュー


実際にあったらしいバカバカしい話を基にしているらしい映画らしく、本当に実にバカバカしい映画ですが、ジョージ・クルーニー扮するリンが、スターウォーズ新三部作でオビ=ワン・ケノービを演じたユアン・マクレガー扮するボブに、糞マジメにジェダイの騎士とは何か?フォースの力とは何か?を説いてみたり(ユアン・マクレガーをキャスティングしたのはこれをやりたいが為だと思われる)、さらにリンの師匠であるジェフ・ブリッジス扮するビル・ジャンゴが、ヒッピー、ニューエイジ文化を体現したようなヨーダよろしくなツワモノだったり(胸にはピラミッドに万物を見渡す目という、秘密結社イルミナティ(フリーメイソン)のシンボルマーク)、ケヴィン・スペイシー扮する悪者役のラリーがラリってたり、この4人の俳優の演技を観ているだけで面白い映画。
ヤギと男と男と壁と フリーメイソン.jpg


色々な映画のパロディ


『羊たちの沈黙』を思わせる「山羊の沈黙」という台詞が出てきてみたり、ビルがベトナム戦争を描いた傑作映画、スタンリー・キューブリック監督の『フルメタル・ジャケット』のハートマン軍曹(R・リー・アーメイ)をパロった(というかオマージュ)演技を楽しそうにしてみたり、それ等の映画を知っていたら楽しめる小ネタも絡んでたりして、映画ファンなら観て損はない映画かと思える。
ヤギと男と男と壁と ケヴィン・スペイシー.jpg


ブラック・ユーモアゆえに、笑えるようで笑えない


‘キラキラ眼力’のような要所で笑えるところも押さえられているんだけれど、全体を通して爆笑できるコメディか?と言えばそうでもないし、かと言ってストーリーがしっかりしているのかと言えば、だいぶ薄いです。
特に、後半LSDをキメて以降のダラダラ感は、実話を基にしているとは言え説得力に欠ける。
というか、元々胡散臭いエスパー集団であって、端からそんな説得力はないんですけど。


しかも、ブラック・ユーモアに溢れた笑い故に、笑うに笑うことができないというシーンがかなり多いので、理解できない人にはさっぱり理解できないと思うし、面白くもなんともないと思います。
だけれど、傑作と呼ばれるベトナム戦争映画、特に『フルメタル・ジャケット』や『地獄の黙示録』で描かれていたような世界が、アメリカの実情だと考えると、これほど怖い映画もそうはない。
何故なら、この映画は、ベトナム戦争の忘れ形見であるヒッピーやニューエイジといった文化であったりを懐かしみ且つ憐れみの眼差しで見つめ、ベトナム戦争そのものを痛烈に批判し、それと形は違えど同じようなことが、イラク戦争でも行われているというアメリカの実情を、胡散臭い話しを盾に暴いているような映画だから。


アメリカのしていることに少しでも違和感を覚えるのなら、これは非常に怖い映画です。
だけど、結局内容が薄っぺらい、特に最後に関しては完全にフィクションにしちゃってるので、本当に説得力に欠けてしまう。
せめて、後半以降、もっと悲劇的に描けていたりしたのなら、感慨深い映画になっていたのかもしれない。


ジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガー、ジェフ・ブリッジス、ケヴィン・スペイシーが共演しているという理由だけで観たら面白くないかもしれません。
せめて、スターウォーズ新三部作のどれかか、フルメタル・ジャケットくらいは観てた方が、映画の楽しみ方が少しでも増えるかなと思います。
アメリカやフリーメイソン、イルミナティなどの陰謀論や、ベトナム戦争、ヒッピー文化などに興味のある方にはオススメ。
それ以外では笑うに笑えないブラック・コメディなのでオススメできません。なんせマニアックすぎる。(個人的には嬉しすぎる演出ですけどね)


【ヤギと男と男と壁と】関連DVD,ブルーレイなど


撮影現場の‘秘密レポート’などの特典を封入したブルーレイ
ヤギと男と男と壁と [Blu-ray]
ヤギと男と男と壁と [Blu-ray]
ヤギと男と男と壁と [Blu-ray]

この記事へのコメント

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/423070847
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック