映画『戦艦ポチョムキン』エイゼンシュテインによるモンタージュ理論の確立

映画情報


戦艦ポチョムキン
(原題:Броненосец «Потёмкин»
(英題:Battleship Potemkin

戦艦ポチョムキン ポスター
製作:1925年(ソ連) ジャンル:ドラマ 上映時間:66分
監督/脚本:セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
出演者:アレクサンドル・アントノーフ、グリゴリー・アレクサンドロフ、ウラジミール・バルスキー


【戦艦ポチョムキン】解説/あらすじ


後のブライアン・デ・パルマ監督による『アンタッチャブル』の階段乳母車シーンで引用されるなど、大変な影響力を生んだ‘オデッサ階段’の映画史上屈指の名シーンで有名な、セルゲイ・M・エイゼンシュタイン監督の長編2作目にあたる旧ソ連の映画。この映画以降、もはや当たり前の映画技法となるモンタージュ理論を確立した映画としても有名。


1905年。大規模なストライキが行われていたオデッサの港近くに停泊していた戦艦ポチョムキン。劣悪な環境の中で出された食事が\あまりにも粗末だったことで、水兵達はついに怒って暴動を起こし、更にはオデッサ階段の悲劇をも生むのだった。


【戦艦ポチョムキン】映画感想/レビュー


1905年に実際起きた事件『戦艦ポチョムキンの反乱』を元に1925年にソ連で製作された、セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督によるモンタージュ理論の先駆的作品。


【モンタージュ理論とは】


モンタージュとは何ぞやって話しですが、これは要するに関係のないような映像をつなぎ合わせて、単一では意味の通らない内容の映像に意味を持たせるための技法です。
例えば…
すっごく悩みこんで、うーんって唸っている女性がいると、それを観た人は、「この人は何を悩んでるんやろか?」と疑問に思うわけですが、その後に書類やらを映し出すと、「あぁ、この女性は今、難しい仕事の問題に悩んでるんやな!」と理解できるわけです。
実は全く別の日、別の場所で撮影したかもしれない映像を組み合わせても、その映像に意味を持たせ、しまいには、何を考えているかまでをも読み取ってしまうという、優れた編集技術なんですね。
これを書類じゃなくて、例えば机に置かれたお菓子とかにすると、「この人はダイエット中で、食べ物の誘惑と戦ってるんやな」とかってなるわけです。


このモンタージュ、今となっては当たり前のように使われている故、『戦艦ポチョムキン』以前の映画を観たことがない人からしてみれば、なんてことのないような話なのですが、モンタージュ理論が持ち込まれる前の映画を観てみれば、この技術の意味はよく理解できると思います。
それ以前の映画は、撮りっぱなしの投げっぱなしであり、編集なんぞ皆無のホームビデオ撮影みたいなもんです。(その前に、1915年の國民の創生で、D・W・グリフィスが、クロス・カッティングという異なる場面を交互に見せて緊張感を出すという手法をやっていますが。)
そういった意味で、戦艦ポチョムキンは凄いし、モンタージュを持ち込んだエイゼンシュテインも凄いんですね。


で、この映画の一番凄いところは、「映画史上最も有名な6分間」と言われる、オデッサ階段の大殺戮シーン。このシーンを観るだけでも、この映画を観る価値は十分にあります。
戦艦ポチョムキンに乗っていた水兵たちが上官に腐った肉を食べるよう強要され、それによって我慢がきかなくなった水兵達が蜂起し、反乱を起こして成功し、オデッサ港に行って民衆達と勝利を喜んでいたのもつかの間、コサック兵が大挙して押し寄せ、大量殺戮を行うこの6分間のシーンには驚愕です。
後にブライアン・デ・パルマ監督の『アンタッチャブル』での駅での階段乳母車シーンの名シーンは、戦艦ポチョムキンのこのシーンのを思いっきり引用していますね。(他にも『未来世紀ブラジル』など、沢山の映画でパロディ化されてます。)


この映画が、帝政と民衆の対立をわかりやすく描いた共産主義成立後のプロパガンダ映画として製作されたという事実にも考えさせられるものがありますが、映画全体のプロパガンダがどーのこーのと言うより、モンタージュ理論を最初に取り入れた作品として、映画史にとって極めて重要な一本です。

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