映画『ロスト・チルドレン』社会に警鐘を鳴らすSFダーク・ファンタジー

映画情報


ロスト・チルドレン
(原題:La Cité des enfants perdus
(英題:The City of Lost Children)

ロスト・チルドレン ポスター.jpg
製作:1995年(フランス/ドイツ/スペイン) ジャンル:SF/ファンタジー 上映時間:112分
監督:ジャン=ピエール・ジュネ、マルク・キャロ 脚本:ジャン=ピエール・ジュネ、マルク・キャロ、ジル・アドリアン 音楽:アンジェロ・バダラメンティ
出演者:ロン・パールマン、ジュディット・ヴィッテ、ドミニク・ピノン、ダニエル・エミルフォルク、and more…


【ロスト・チルドレン】解説/あらすじ


『デリカッセン』のジャン=ピエール・ジュネとマルク・キャロが監督/脚本を務めるフランス産ダーク・ファンタジー。主演は『薔薇の名前』『蜘蛛女』のロン・パールマンと、数百人に及ぶオーディションから見事ヒロインの座を勝ち取ったジュディット・ヴィッテ。


雨の降る夜。錆びれた近未来都市で、一つ目教団による誘拐事件が発生。さらわれたのは怪力男ワン(ロン・パールマン)の弟ダンレー(ジョゼフ・ルシアン)。一つ目教団の目的は、とある実験室に住むクローン人間クランク(ダニエル・エミルフォルク)に夢を見させること。ワンは子供達で組織される窃盗団のリーダー、ミエット(ジュディット・ヴィッテ)という9歳の少女と出会い、共にダンレーを探しだし救出するべく一つ目教団の本拠地に潜入するのだったが…。


【リトル・チルドレン】映画感想/レビュー


『アメリ』等で有名なフランスの鬼才、ジャン・ピエール・ジュネ監督と、マルク・キャロの合作SFダークファンタジー。まるで未来のグリム童話のような御伽噺的な世界感。


見た目は大人の怪力大男だけれど心は純粋な、名探偵コナン君とは間逆のようなワン(ロン・パールマン)と、子供だけれど大人びている、名探偵コナンで言うところの灰原哀みたいなミエット(ジュディット・ヴィッテ)の関係性は、『レオン』のレオン(ジャン・レノ)とマチルダ(ナタリー・ポートマン)のような関係であり、またワンは見世物小屋の怪力男という仕事柄、フェデリコ・フェリーニの『』のアンソニー・クインを思わせ、様々なフランス名作映画からの影響(オマージュ・パロディ)を感じさせます。
様々な映画からの影響を受けているだけでなく、『ロスト・チルドレン』という映画の世界感自体も、『マトリックス』や『パンズ・ラビリンス』などの後の名作映画に影響を与えています。


ストーリー自体は、独特の世界感故に、苦手な人は苦手で入り込みずらいところがあるのは否めないんじゃないと思いますが、好きな人は好きであろう世界感。
近未来的且つファンタジックな、クローンなどが存在する機械都市的な無機質感と、雨や海や水、燃え盛る炎や、人間以外の虫などの対比を巧みに活かした独特な映像表現は、ダーク・ファンタジー、錆びれた近未来という世界感にはぴったりです。
デヴィッド・リンチの一連の映画で知られるアンジェロ・バダラメンティによるダークな雰囲気の音楽も、この映画には見事にマッチしています。


現実離れしすぎた世界観ではありますが、皮肉交じりのブラック・コメディ的な要素があります。というより、そのテーマこそがこの映画の本質で、荒廃した孤独な世界で、孤独な人や人ならぬ者たちの穴を埋めるべく子供達を利用するも、そんな世界で生きる子供が見る夢が美しいものであるわけがなく、そのことごとくが悪夢。素敵な夢を見ようと思うのなら、素敵な世界を知っていなければイメージのしようもないのです。社会に対する警鐘ですね。

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