映画『ベルリン・天使の詩』ホメロスの綴る叙事詩

映画情報


ベルリン・天使の詩
原題:Der Himmel über Berlin
英題:The Wings of Desire

ベルリン・天使の詩 ポスター.jpg
製作:1987年(西ドイツ/フランス)、ジャンル:ドラマ/ロマンス/ファンタジー、上映時間:128分
監督:ヴィム・ヴェンダース 脚本:ヴィム・ヴェンダース、ペーター・ハントケ 撮影:アンリ・アルカン
出演者:ブルーノ・ガンツ、ソルヴェーグ・ドマルタン、クルト・ボイス、オットー・ザンダー、ピーター・フォーク、ニック・ケイヴ、and more…
第40回カンヌ国際映画祭:監督賞(ヴィム・ヴェンダース)受賞


【ベルリン・天使の詩】解説/あらすじ


オーストリアの詩人ライナー・マリア・リルケの詩から着想を得た、『パリ、テキサス』のヴィム・ヴェンダース監督作品。後にニコラス・ケイジとメグ・ライアン主演で『シティ・オブ・エンジェル』として、ハリウッドでリメイクされている。カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。


人間のあらゆる声を聞き、様子を廃墟の上から見守るトレンチコート姿の天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)。彼の姿は子供達と盲人にしか見ることができない。ダミエルは下界で空中ブランコに乗るマリオン(ソルヴェーグ・ドマルタン)に恋をし、親友のカシエルにオットー・ザンダーに人間になりたいと呟く。人間に恋をすると天使は永遠の命を失う。そしてダミエルはベルリンに降り立つ。すると、撮影でベルリンを訪れていたピーター・フォーク(本人役)が、しきりにダミエルに語りかけてくるのだった。


【ベルリン・天使の詩】映画感想/レビュー


ヴィム・ヴェンダース監督の映画『ベルリン・天使の詩』は、1987年のカンヌ国際映画際をはじめ、多くの批評家に絶賛され、多数の賞を受賞した。
天使ダミエルの見る天国と、サーカスの空中ブランコ乗りであるマリオンの居る人間界は、モノクロと色彩豊かなカラー映像とではっきり区別され、ジャン・コクトーの『美女と野獣』などで知られるアンリ・アルカンの撮影による美しい映像美はファンタジックな世界を生んでいる。
映画全体を通して静かで落ち着いた心地イイ雰囲気で、まるで写真のようなベルリンの情景や重厚な音楽が美しく、天使の聞く人間の心の声(闇)は、詩の朗読を聞いているいるような雰囲気で詩的である。
詩的と言えば、『オデュッセイア』などで知られる叙事詩人ホメロスが、この映画でも登場することは非常に興味深い。ホメロスの声は天使達を通して語りかけられています。


人間の内面が透けるからこそ陰鬱な世界が蔓延ってはいるけれど、守護天使としてそんな人間を見守る自分の役に徹していたダミエルが、その役柄に疑問を感じ、マリオンに恋をして、地上に降りて触れたい、人間になりたいという思いをめぐらせることは、つまり永遠の存在であることから離れ、死を意味することなのだけれど、そうしたダミエルの願いは、普段あまり意識しない死であったり、またそれとは裏腹に、色彩豊かな生の美しさ、素晴らしさを考えさせられる。


『刑事コロンボ』で有名なピーター・フォークが、まさに観客にコロンボと呼ばれる本人役で登場していますが、ピーター・フォークが現れ、彼がダミエルという天使の存在に気づき、見えていないはずの者に話かけることで、夢のような幻想世界から、ダミエルは愚か観客さへも現実に引き戻す。
詩的且つ、哲学的で、全てが美しく、考えさせられる優れた映画です。

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