ロボコップ(ポール・ヴァーホーヴェン)

映画情報


ロボコップ
(原題:Robocop)

製作:1987年(アメリカ)
監督:ポール・ヴァーホーヴェン 出演者:ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン、ダニエル・オハーリー、and more…


【ロボコップ】解説/あらすじ


犯罪のが横行する近未来のデトロイトでは、巨大企業であるオムニ社が警察をも傘下に束ねていた。
オムニ社は犯罪を撲滅させるために、大型の警察ロボットを開発するが失敗に終わり、次はロボコップという名のサイボーグ警官の製造を計画。
そんな中、地元警官のマーフィ(ピーター・ウェラー)は、婦警ルイス(ナンシー・アレン)とコンビを組み、クラレンス(カートウッド・スミス)ら強盗一味を追跡。
しかし深追いしたマーフィーは、強盗団一味に取り囲まれ惨殺されてしまう。マーフィーの遺体はオムニ社が回収し、サイボーグ警察ロボコップとなって悪を撲滅するのだが…。
2014年にジョゼ・パジーリャ監督によるリメイクで再び話題を呼んだ『ロボコップ』のオリジナル。『ルトガー・ハウアー 危険な愛』や『女王陛下の戦士』、『4番目の男』、『トータル・リコール』、『スターシップ・トゥルーパーズ』などで知られるオランダの鬼才、ポール・ヴァーホーヴェン監督の言わずと知れたSFバイオレンスアクション映画。


【ロボコップ】映画感想/レビュー


仮面ライダーの如く、生きた人間が改造されるのではありません。殉職した警官が会社の手によってサイボーグにされる。そのマーフィが惨殺されるシーン。これが、まるでキリストの磔刑です。DVDのコメンタリーで監督自らが語っています。手を拳銃で撃たれ(キリストが手首であったり手の平を貫かれたように)、文字通りの蜂の巣にされた後(キリストが鞭で打たれたように)、最後に頭を打ちぬかれ、無残にも散ってからロボコップとして再生します。ロボコップは、鋼鉄と化したキリストなのです。
鋼鉄と化したキリストことロボコップに、慈悲などという言葉は存在しません。正義のヒーローとして、悪者は逮捕、出来なければその神の如き完璧な強さをもって成敗します。
しかし、悪は悪なのですが、マーフィをロボコップとして再生させた会社、警察をも傘下に入れて統括する民間の大企業"オムニ社"。この会社の設計したプログラミングによって制御されているロボコップは、完全なる強さを誇っているわけではありません。
「オムニ社の社員には手を出せない」というプログラミングが施されており、たとえオムニ社の社員が法律的に悪行を行っていても、手を出せないし、逮捕もできないという弱さも持っています。
これでは鋼鉄のキリストも神ではありません。オムニ社こそ、警察を統括していたり、完璧な強さを誇るロボコップを制御していたり、神的な力を持っているわけですが、このオムニ社の社員が、必ずしも善と言いきれるものではなく、では善悪とは何か?という哲学的な問題も、このバイオレンスなSFアクションムービーは持っています。
ハリウッド映画でありながら、必ずしも勧善懲悪的な世界感にはなっていなくて、ロボコップも完全なヒーローと言えるわけでもなく、その辺がお子様ランチ的勧善懲悪のヒーロー者とは一線を画します。


更にこの映画には、当時のレーガン政権に対する皮肉がたっぷり篭められています。批判を描いたわけではなく、当時のアメリカの実情を描いたらこのような作品になったとコメンタリーで語ってますが…。
映画の中に、TVのニュース番組が入ったりするんですが、このニュースで読み上げられる事件が非常に面白いです。
「軍事衛星がレーザー光線を誤射して、サンタバーバラを焼き、民間人も巻き添えに。この中には元大統領も2人入ってます」的なニュース。
これは当時のレーガン大統領が提唱していた、「スターウォーズ計画」に対する皮肉です。
このニュースの後に、家庭向けの家族ゲームとして、核兵器を突きつけあい、核攻撃をほのめかすようなCMが入ってきますが、ソ連に対して軍事力を拡大したり、「ソ連をこれから攻撃する」などの発言をしたレーガン政権を完全に皮肉ってます。
その他にも経済面では、劇中でオムニ社という大企業が警察を統括しているように、当時のレーガノミックスと呼ばれる改革の失敗に対する皮肉もたっぷり篭められてます。
ストップモーション技術を用いて撮影されたED-209の性能の悪さなども、当時のアメリカの見た目だけで中身がないみたいなことを象徴しています。
誤動作でオムニ社員を蜂の巣にするという残酷極まりない描写にはびっくりだし、その惨殺シーンを見た後のオムニ社の重役も社員も、蜂の巣を目にしてやたらに冷たい態度をとったり、「救急車を呼べ」というシュールな感じは、ブラック・ユーモア的ですね。尚、ロボコップのモデルとなっているのは、日本の特撮ヒーローである、宇宙刑事ギャバンです。配役が決定する前にロボコップスーツを作ってしまし、サイズがたまたまぴったしだったことで、主演をピーター・ウェラーが務めることになりました。

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